前回の<急傾斜地の家>の現場の様子をお伝えした記事<硝子工事>ではFIXガラス窓(嵌め殺しで開かない光を取り入れるだけの窓)の施工の模様をお伝えしたわけですが、それに話を繋げて今回は、開く窓でのちょっとした工夫の話をしてみたいと思います。
住宅の設計で開いたり引いたり動く窓のデザインを考える場合、意匠面だけで考えれば半既製品のアルミサッシや樹脂サッシよりは木製建具やスチールサッシを採用した方が空間に即した様々な形やディテールを工夫する事ができ、空間デザインにとって開口部の設えが特に重要な要素の一つであるが故に、空間全体の演出という点からも優れていると言えます。
でも、その場その場で一から造る木製建具の場合には、よほど凝ったディテールと厳選された木材を使わない限り(=ドカッとコストアップ)気密性に問題を抱えますし、経年変化による劣化も気になります。
また、スチールサッシの場合には製作費がこれまたドドーンと掛かる上に、ヒートブリッジによるサッシ枠(表面だけでなく内部共)での結露はよほどの対策を講じない限り避けられませんし、ディテールによってはかなりの重量ともなるため構造が木造の場合には構造体への負担も増します。
近年は木枠を使って半ば既製品化されたいわゆる木製サッシも様々なメーカーで造られ多く出回るようになってきており、中には木の素材感を生かした空間であればかなりマッチする優れたデザインのサッシも見受けられるようになってきましたが、開口はできるだけシンプル、といった空間デザインの場合にはたとえ単体のデザインとしては優れていようともその大きな木枠(障子框といいます)はやはり不粋なものとなります。
ちょっと余談気味な話ですが、建築雑誌に掲載されるような住宅にやたらとFIX窓が多用されているのは、簡単なディテール=ローコストで枠を消し去ったシンプルな開口部が造れるから、でもあります・・・もちろんその窓は開きませんから、そんな窓ばかりで設えられた住宅は、私の場合、写真を眺めているだけでもなんだか息苦しく感じたり。(^^;
もちろん私も前述の記事<硝子工事>のように様々な理由から所々にFIX窓を採り入れますが、やっぱり住宅では大半の窓は開かないと・・・そう考えています。
ところがそんな開閉可能な窓にはしたいものの、時に、ここは障子框がないシンプルな開口として見せなければ空間が締まらない、という場合が出てきます。
あぁだけれども予算は限られているし、気密性の確保や経年変化も考えないと・・・そんな時に私たちの事務所で採用する定番のディテールが、アルミサッシ(樹脂サッシでも同じ)の中でも最もローコストな引違い窓を使った隠し框納まりの引込み窓です。
文章が長くなりました。
百聞は一見にしかず・・・<奥天神の家 I>家族の間に設えた隠し框納まりの窓です。

左: 明かり障子も閉めている状態。
ここでは明かり障子も引込み戸で設えています・・・余談:業界人向けの話ですが、この写真では右手の柱と障子の間にあるスリットが吊り込みのミソ。わかりますよね?
右: 明かり障子を壁内の戸袋に引き込んでいる途中。

左: 明かり障子を引き込んだ状態・・・不粋な枠がないガラス面だけのシンプルな開口部。
右: でもFIX窓ではなく、このようにガラス障子も壁に引き込む事ができます。

左: ガラス障子も引き込んだ状態。撮影時ははずしていますが、もちろん網戸も引込みです。
右: 引込み側枠周り詳細。枠中央部の小扉はクレセントを締めるためのもの。

平面詳細図 この住宅ではサッシ外部に外物置(図右下)を設けたため若干納まりは複雑です。
ちなみに扁平柱からは左手は約2.6m×2.0mの大きなFIX窓。
隠し框納まりは、なにも私たちのオリジナルディテールというわけでもなく、昔からある工夫ですが、(たぶん)ここまで徹底してやっている事務所はあまり見かけない・・・その辺が、まあ、その、ちょっとした自慢かも(^^)、です。
ただ、気密性・耐久性に優れながらも超ローコストな住宅用アルミサッシ引違い窓を使っているとはいえ、ディテールを実現するための大工職の手間はそれなりに・・・で、全体のコストバランスを考えると要所でしか使えないのが難点ではあります。
けれども、そんな工夫から生まれた空間は、写真ではなかなかお伝えできないものの、デザイン面だけでなく温熱環境面からもやはり他では得がたい居心地の良いものと考えていますし、住まい手の方にはそれを実感していただいています。
そしてここからはチョイと宣伝ですが、この隠し框納まりは来月末に見学会を開く<急傾斜地の家>でも採用・・・そう、見学会に参加されると実感もしていただけるというわけです。(^^)v
今回は高所の窓にもかかわらず、求めようとする空間から考えるとどうしても腰壁の高さを低く抑えてかつ大きく開きたい!という結論になり、故に落下防止などの安全面にも一工夫した納まりともなっています。
この窓を見るだけでも見学会参加の価値有り。←ほんまに?(^^;
と思ったら、ぜひ、来て見て、その空間や私たちの設計ってこんな風、を体感してみて下さい。
急傾斜地の家 完成見学会
参加者募集中です。
開催日:2007年12月22日(土)・23日(日)
場所:兵庫県西宮市
詳しくは下記リンクをご覧下さい。皆様からのご参加申込みをお待ちしております。
http://blog.kenchikusha.com/archives/50395803.html
参加者募集中です。
開催日:2007年12月22日(土)・23日(日)
場所:兵庫県西宮市
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