2005年11月27日

厚い本 4

0204
ちょっと前に、記事<厚い本>で紹介したハードSF小説<啓示空間>。
忙しい日々が続く中、なかなか読書の時間も持てなかった今日この頃ですが、昨日の泉州往復で都合3時間くらい電車に乗っていたお陰で、一気に読みきる事ができました。
で、感想は「いやー面白いのなんの!」私の中では久々の大ヒット作。!(^^)/
まあ、この著者アレステア・レナルズにとって処女長編という事もあってか、物語の展開や背景設定として出てくるSF的アイデアやアイテムは、いつかどこかで一度は読んだ事があるような、という感じが否めなくもないものでしたが、でも、それらは単純に他の小説を参考にしているわけではなく著者なりにきっちりと消化された上で使われているので、立派にレナルズオリジナルの世界を作り出しています。

人類の他星系への植民が進んだ26世紀。細胞の長寿化と生体の機械化(キメラ化)、冷凍冬眠技術の確立により長寿命化、機械化された人類が闊歩する銀河を舞台として物語は展開して行きます。
他星系への進出を果たしたとはいえ、登場する星系間宇宙船はアインシュタインの特殊相対性理論を遵守した星間物質ラムスクープジェット近光速船。それによって生まれる通常時間と船内時間の差に起因する同時性という感覚の崩壊と人類の分属化。
人の記憶は、ほぼ完全にデータ化されメモリーチップの中に永遠に保存する事もできるようになった時代。
一方でDNAにも似た自己修復・自己増殖機能を備えた機械を襲うウイルスの出現によって、病理に苛まれる機械化人間や機械化された植民星。
これらのレナルズ銀河ワールドを背景に、主人公の一人が発掘した異星人の古代遺跡が契機となって物語は思わぬ方向へと展開して行く・・・と、あとは読んでのお楽しみという事で。(^^)
と、ここまで書いて、ふと思うに、SF小説に興味がない方から見ると、こんな文章だけでもかなりマニアックな印象=あぶない世界という印象を抱かれるんでしょうね(^^;
SF好き人間にとっては、ごくごく普通な文章なんですが・・・そこがマニアックたる所以か(^^)
ま、でもほんとハードSFファンにとっては久々のヒット作、と思う逸品。
同じ宇宙を舞台とした続編も本国英国では次々と発表されているとの事で、続編の和訳刊行も楽しみなSF作品です。

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この記事へのコメント
うわぁ!確かにSFに出てきたことがありそうなアイテムが全部入っていますね。
なんて盛りだくさんなんでしょう。
うちの相方にぜひぜひ薦めておきます(^^)
おもしろいハードSFがなくなったと嘆いていたので喜びます。
でも、異星人の古代遺跡…
「イデオン」か「さよならジュピター」くらいしか私には浮かばない(^_^;)
Posted by keito at 2005年11月27日 21:50
ハードSF小説って海外ではそれなりに出版されてるんですが、日本では近年なかなか出版されません。
この続編も2年以内に出たらまだ良い方、と思ってますが・・・。
続編を早く出版してもらう意味でも、みんなで買って、ハードSF界を盛り上げましょう!(^^)
Posted by masai at 2005年11月27日 22:06
昨日、ジュンク堂へ行ったら、ハヤカワのところにひときわブットイ本が・・・。ついつい買ってしまいました。抜いたあとの空間がとても目立ってましたわ。「スー」(恐竜発掘ノンフィクション)も買ったきり読んでないけど、啓示空間は一応文庫で持ち運べるので、こちらが先になりそうです。
Posted by かま猫 at 2005年12月08日 17:50
おお、買われたのですね。また感想などお聞かせ下さい。
「スー」って長居でやってた恐竜展でも展示されていた発掘史上最大のティラノサウルス・レックスの化石ですよね。
恐竜展、私は行けませんでしたが、妻と娘たちは行って、それなりに感動して帰ってきてました。
Posted by masai at 2005年12月09日 12:13
啓示空間、読了です。作者の経歴からして、「科学的に騙されたい!」という欲求をお持ちの方にはかなりの満足感を与えてくれるのでは?私のように「そもそも本当っぽく書かれているのかどうかすらわからん」人にはちょっとネコに小判ですね。いずれにせよ1作目は世界を作るのに忙しいので、伏線(素材)は次作以降に生きてくるのかな?という感じです。
ただ、キャラクターがどの人も乾いた感じで、そもそも「人」の定義が崩れていってるので、感情移入しにくいですね。加えて自分自身のSFに対する感受性が低下しつつあるような気もするなぁ・・・。
Posted by かま猫 at 2005年12月20日 18:33
人間描写のドライさは、昨今のSF、特にサイバー系SFに共通の感覚で、私も好きではありませんが、それはそれで今の時代を繁栄しているのかなと思ったり。
ハインラインが描き出した明るい未来やホーガンのユートピア思想など、もはやSFでも描けない嘘っぱちの未来になってしまった・・・夏にロバート・J・ソウヤーの<ホミニッド>という平行宇宙を主題にしたSFを読みましたが、その根底に流れるあまりにもお気楽な社会主義的ユートピア思想にはかなり嫌気を感じる自分がいたり・・・まあ、その辺りがSF小説の限界点かもしれませんね。
Posted by masai at 2005年12月21日 10:57