集合住宅
0122
昨日の記事で紹介した西念寺の松屋町筋を挟んだ向いには、知る人ぞ知る大阪市営下寺町住宅(浪速区下寺2丁目)があります。
もともと鉄筋コンクリート造3階建ての典型的な市営住宅でしたが、住民が好き勝手に、もちろん建築確認申請など何?という状態で増改築を繰り返した末に生まれた建築(下写真)です。
事の良悪は別にして「住む」という人間行為の迫力を感じる建築。
建築学的に重要な点は、一見無秩序に見える増改築もコミュニティの中で自然発生的に生まれたルールに沿って増改築されている点で、人間が集まって住むという行為の基本、コミュニティの原点を見ることができる点にあります。
近年、大学などでは団地再生や集合住宅論が盛んですが、そのような研究を行おうという学生諸君にとっては一度は見ておくべき建築の一つかもしれません。

ただ、一定のルールはあったとはいえメンテナンスの事など考えずに増改築を繰り返してきた結果、外壁や屋根は痛み雨漏りはひどく、下水配管のメンテナンスもできないような状態となってしまっているので、いまではかなり汚水臭も漂う劣悪な住環境となってしまっています。
数年前まで下寺町住宅の南には、さらに大規模な市営南日東住宅(下写真:浪速区日本橋東3丁目)がありました。
肯定的な意味で<難波の軍艦アパート>とも言われた建築です。
ただ下寺町住宅と同じくメンテナンス不能状態に陥った結果、大阪市としてもこれ以上黙認できなくなって現在は取り壊され、高層集合住宅への建替え工事が進められているところです。
尚、下寺町・南日東住宅については、雑誌<住宅建築>1997年
6月号・
8月号に掲載された寺川政司氏の研究論文<大阪市営下寺・日東アパート>で詳しく綴られています。

上写真は10年ほど前に寺川氏に案内してもらった際に撮影したものですが、いま建替えられている無味乾燥な高層住宅群にはこの風情は存在しませんし、おそらく今後は生まれ得ないように思えます。
メンテナンス不能の無許可増築は防災面も含めて決して容認できるものではありませんが、そこには他の集合住宅では望むべくもないコミュニティが存在した、と先の研究論文でも語られています。
10年ぶりに訪れた下寺町住宅も空家が目立ち、確たることは知りませんが、どうやらこちらも近々建替えられる様子。見学できる時間はあまり残されていないのかもしれません。
※見に行こうと思われた方へ
訪ねて見る分には自由ですが、そこはあくまでも人が暮す住宅。その点をわきまえて行動して下さい。
特に写真撮影に関しては最大限の配慮・礼儀を忘れずに。
Posted by masai at 09:27│
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建築諸々
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建築設計事務所 正井建築舎
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はじめまして。大学一回で建築を学んでいる者です。前期の授業で下寺町住宅について学び、先日自分の目で確めたくなって見学してきました。実際に訪れると正井さんの仰る「住む」という行為の迫力というものが予想以上に感じられました。住環境としては良いものではないかもしれませんが、日東住宅を含めて、このような集合住宅が消えていくことがとても残念です。
さなえさん、コメントありがとう。
そうか、最近は大学の授業にも登場してきているのですね。それは良い事かも。
集合住宅に限らず、街で私なりに「住む力」を感じた建築を、ボチボチながらも、ブログで紹介して行けたらと思っています。
これからもご贔屓下さい。
下寺町住宅は大学の「都市・住宅史」という授業で登場しました。
下寺町住宅について何か記事がないかとネットで探していてこのホームページを発見したのですが、発見できて本当によかったです。
パッシブデザインという言葉は初めて聞いたのですが、大きな刺激を受けました。中学時代から、ハウスメーカーのつくる同じような間取りの家に疑問を持っていたのですが、今までは「その家に住む人にあったその家族のための家をつくりたい」と思っていただけでした。しかし正井さんのエッセイを読んで、その地域の気候について考えることも大切だということに気づけました。ありがとうございます!!!
これからもホームページ拝見させて頂きます。頑張って将来の夢をかなえたいと思います。正井さんも頑張ってください。
九龍城みたいな感じ(機能的には小規模ですが)が日本にもあるんだ!
と、ちょっと行ってみたいです。
この軍艦マンションが現役で成長していた頃は、もっと生き生きして動き出しそうな雰囲気だったんでしょうね。
住宅建築探してみます。ありがとうございます!
いえいえ、どういたしまして。
見学や写真を撮るときにはプライバシーを侵害しないよう、気をつけてね。
はじめまして。
今日、日本橋へ行ったついでに立ち寄ってみましたが、悲しいかな、ついに解体工事が始まっていました。北側の棟はまだ手が付けられていませんでしたが。
あの一角に入ると、何か70年代以前にタイムスリップしたような感じがしましたし、それがとても居心地がよかったのですが、もう味わえなくなりますね。
Ta2oさん、コメントありがとうございます。
少し前に人からそろそろ解体とは聞いてはいましたが、そうですか、とうとう解体がはじまりましたか。
また一つ「なにわ」が消えて行きますね。
今日は帰りに写真を撮りに行ってきました。
やはり、こちらの管理人様も写真掲載されている北側の団地は手付かずでした。
南側の小さめのブロックをすべて解体してからのようです。
もし、これから写真を撮ろうと思う方がいたら、今ならまだ間に合いますよ。
ただし、各戸の玄関はもとより、階段や通路もベニヤなどで封鎖されていますので、中庭などへは入れません。
そこで、おすすめなのは、北側にある10階建てマンションです。
このマンションは最近流行りのオートロックではないので非常階段から撮影することができます。下寺住宅の全貌を見ることができました。
見れば見るほど楽しい空間でした。