写真は兵庫県猪名川町の田園風景。大学時代からの友人が設計した住宅の完成見学会が土曜日に開かれ、そこを訪れる道中で撮影したものです。
見学に行った住宅は、写真に写っている茅葺き民家と同じような築100年以上になるという古民家を、座敷と仏間は残して基礎から全面改修したリフォーム住宅でした。
既にお住まいになられているという事もあって写真は撮っておらずご紹介できないのが残念ですが、住まい手の要望をうまく取り入れながら、漆喰壁の白と古材の黒を強調した空間に仕上げられた住まいでした。
ただ、縁側のかつて雨戸が巡っていた部分にはFIXガラス(嵌め殺しガラス)が多用されていて、それが残念というか、疑問というか・・・。
このような古民家のリフォームの場合、気密性・耐候性を向上させるために往々にして見られる手法で、確かに庭と縁側の間にFIXガラスを挿入すれば、庭への視線の抜けを維持しながら気密性や耐候性をある程度確保できるようにはなりますが、かつてあった庭との空気の共有や流れはなくなり、本当の意味での庭と連続性は遮断されてしまいます。
コストの問題もあったのでしょうが、せめて引込戸として厳冬や猛暑の頃以外は開け放って庭と一体になれるような空間に仕立てなければ、庭がそこにある意味は心の中では希薄なものになってしまう、と考えさせられた見学会でありました。
似たような話をもう一話。
今月号の<新建築>という建築雑誌には、先日完成した<京都迎賓館>が掲載されています。
久々の大型和風建築で、主体構造は鉄筋コンクリート+鉄骨造ながら、数奇屋大工・左官・作庭など様々な伝統技能が生かさた力作に仕上がっているようです。
まあ、外国の主賓を迎える日本の顔ともいうべき建築ですから、当たり前といえば当たり前の話なのですが。
プランは巨大な池を配した中庭を巡る回廊や縁側に沿って各室が配されたコートハウス形式。
日本の伝統建築の真髄とも言うべき庭と建築が一体となった空間がどこからでも楽しめるように計画されていていますが、問題はその中庭に向かってフルオープンとなっている回廊や縁側の開口部全てにFIXガラスが嵌まっているところ。
半洋式の回廊はまだしも、畳敷きの縁側にまでガラスを嵌め殺してしまった理由とは何なのか。
気密・耐候・防犯・防弾・・・おそらく様々な目的はあるのでしょうが、諸外国からの来賓に日本の伝統を感じてもらうための施設であるなら、「縁」や「軒」といった空間が成立した風土を感じてもらうためにも庭の空気と一体になれる縁側でなければ片手落ち、と考えるのは私だけでしょうか。
もちろん真の評価は写真だけ見ていても下せるものではありません。
ところがこれ幸いに、8月下旬には往復はがきでの申込みによる一般公開があるそうで、これはぜひ行ってみなければと考えているところです。
京都迎賓館一般参観案内>http://web.kyoto-inet.or.jp/org/kent1200/geihinkan/sankan/annai.htm
私たちの税金を湯水の如く使っていながら、私たち一般人にとって普段は天上の施設。
皆さんもこの機会にいかがですか。
