2005年06月14日

竹林巡考

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保津川に浮かぶボート12日の日曜日は散髪の後、<牧落の家>の打合せのため住まい手が現在お住まいの京都市西京区へ。
少し早めに出たこともあり、打合せまでには少し時間があったので、久しぶりに近くの嵐山を散策してみることにしました。10年ぶりくらい。
土曜日に梅雨入りしたとはいえ、この日は薄雲が広がる程度で雨の気配はまったくなし。渡月橋近くの保津川にはたくさんのボートが浮かび、のどかな初夏の休日といった面持ちでした。
でもふと見ると、嵐亭前辺りにはのどかな風景には似つかわしくないたくさんの京都府警の姿。水死体でも浮かんだのか?と思いつつ近寄るとそこはドラマのロケ現場。
京都府警も俳優さんたちのようで、たぶん「保津川なんたらかんたら殺人事件」とかいうタイトルになるんだろうなと思えるサスペンス系ドラマの撮影のよう。私の知らない俳優さんがゴム長履いて川に入り、なにやらバシャバシャとやっていました。
そんな事件現場を横目に川沿いから亀山公園へと入り、森の小道をブラブラと。
周恩来雨中嵐山詩碑の前では胡弓の生演奏を聴いたりしながら、天龍寺をぐるっと回わって一時間ちょっとの散策でした。

下写真はその途中にある孟宗竹の林です。
ちょっと手入れが行き届いていない感じで竹林特有の緊張感には欠けていましたが、吹きすぎる風は涼しく、居心地のいい空間ではありました。

桂離宮の存在を当時の日本人に教えた建築家ブルーノ・タウトは、建築や日用雑貨に現れる竹の姿に日本のオリジナリティと自身の建築の可能性を見い出し涙したと伝えられていますが、近年、それらの竹製品のほとんどはプラスチック製品や金属製品に置き換えられ、残った竹製品も安価な中国産や東南アジア産が大半を占めるようになってしまいました。
旬の象徴であったタケノコ<筍>も外国産が出回る時代。竹林の多くは人間の手が入らない放置林となってきています。
久しぶりに歩いてみて、この竹林にもそんなところを感じてしまいました。
竹は見た目から一本一本が樹木と同じような別の個体と思いがちですが、実は竹林全体が地下茎で結ばれた一つの個体。
ですから、伐採やタケノコ掘りで適度に人間の手が入っている竹林は、常に疎の状態にあるので、より多くの太陽光を得るために竹はタケノコを伸ばそうとする事に懸命となって、地下茎伸ばして周囲に広がろうとするまでの元気はなくなり、竹林の広がりは常にある範囲内で維持されます。
ところが人間の手が入らず、タケノコも伸び放題となってくると密度はすぐに限界に達し、さらに多くの太陽光を求め、今度は地下茎を周囲へと伸ばし自身の面積を広げようとして、周囲の樹木の森を侵食しはじめるのです。
結果、草並みの成長速度ということも相まって、いま日本の山いたるところで森林が竹林によって駆逐されてきているのです。

竹林

写真でもそうですし、お近くの竹林をご覧になればわかるように、過密となった竹林では地下茎が縦横に走り、他の樹木の種子が落ちても芽吹く事ができず、竹だけが繁る単一種林になってしまいます。
その縦横に走る地下茎のお陰で竹林は地震に強いなどと言われますが、事実はむしろその逆です。
竹の地下茎は表土分の厚み程度しかない薄いもの。なので斜面の竹林は豪雨や地震ですぐに地下茎ごと地滑りを起こしてしまう脆弱な林なのです。
また地下茎が密になった表土では雨水の浸透も悪く、雨は地下へと滲み込むことなく表面を流れ、それが急速な河川の増水を招く原因ともなります。
そんな災害の増大を防ぐ方法はただ一つ。そこにある竹を使う事。
プラスチック製品に置き換わってしまった竹製品を国産の竹によって再び復活させる事。
そして、旬にはバリボリとタケノコを食べる事。(^^)
言うは安く行なうは難しで、ブルーノ・タウトの頃から建築構造材への竹の活用なども研究され、愛知万博では実際にパビリオンの構造材として使われたりもしていますが、基本的に腐りやすく過乾燥になると割れやすい竹の恒久的建築構造材への活用はまだまだ難しいのが現状です。
やはり最も竹の活用域が広がるのは仮設物や垣根・日用雑貨の世界。
できることからコツコツと。
私自身も身の回りに竹製品を置こうと心掛けはじめた昨今です。

掃除道具さてさて、そんな事を思い浮かべながらの散策を終え、渡月橋橋詰めの中之島公園で一休み。
石積みの堤防に腰掛け、ふと前を見ると素敵に侘びた貸船屋が。
整然と並んだホウキやチリトリが面白く、シャッターを切りました。
でも考えてみれば、これらの掃除道具も一昔前は竹製品や木製品。
写真的にもそうであったらもっと絵になっただろうにと、また頭は竹林へと帰って行く嵐山でのひと時でありました。

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この記事へのコメント
竹は、里山保全にとっても最大の悩みの種のようです。いくら「駆除」しても侵入してくるし、しかも切った竹をどうするのかが大問題。保全運動に携わる方達は、子供の遊具を作るイベントを催したり、竹炭を作ったりと様々な工夫をされているようですが、ハタから見ていて使いきれるのか?と不安が・・・。
その昔里山がサステナブルだったのは、竹の消費まで含めた循環システムがあって、しかもそれが庶民の文化、経済面でしっかり根付いていたからでしょうね。現代で、里山保全をという場合、竹の消費を今一度文化、経済システムに組み込まないと大変厳しいです。従前の文化の見直しに加えて新たな活路が欲しいところですね。・・・って結局正井さんのコメントと同じなんですが。
Posted by かま猫 at 2005年06月14日 18:08
補足説明ありがとうございます。私の駄文よりわかりやすいかも。(^^;
ビールに酒、脱臭剤に除湿材、さらには導電材料まで、新しい活路を次々と見い出してきた竹炭も、そのほとんどが当初の国産材製品から安価な中国製品へと取って代わられてしまいました。
某酒造メーカーだけは一旦中国製品へと変えた後、再び国産竹炭へと回帰してはきましたが・・・。
結局は私たち消費者側に少し高くても国産材を使おうとする意識が根づき広まらないかぎり、たとえ新しい活路が開けてたとしても身近な環境はいつまで経っても改善されない、という事になりかねません。
事は国産材による住まいづくりとまったく同じ構図。
そんな事を少しでも多くの人に知ってもらいえれば、と思いつつのブログです。
Posted by masai at 2005年06月14日 21:59
竹林の手入れは大変です。母方の祖父の家にもありましたが、手入れを怠るとすぐに地面は硬くなり、きちんと間引いてやらないと筍すら掘り返すのが難しくなりました。
子供の頃は間引いた竹でおままごとをしたり、弓と矢を作って遊んだりしたのですが、竹を切るのは大変でした。
祖父の家は明治だか大正に建った洋館でしたので、竹林との組み合わせが不思議な感じでしたよ。
ちなみに一番好きな筍料理は筍のおさしみです(^^)
Posted by keito at 2005年06月15日 08:16
うちの近所に孟宗竹の林を持っている農家の方がいて、やはり維持するのは大変なようで、もったいないからと毎年旬にはタケノコを食べきれないほど頂きます。だからうちは良くも悪くも毎年4月から5月かけてはタケノコづくしです。(^^;
料理法は焼いてちょっと醤油をたらして食べるのが一番好きかな。
日本酒の肴には最高です!(^^)
Posted by masai at 2005年06月15日 09:41